「EHONプロジェクト.β」に集まった作品は、2009年4月から7月までメンバーがほぼ毎週顔を合わせて議論を重ねて培った要素が作品に結晶したものです。
EHONプロジェクト.β 進化歴(ブログまとめ)
- 第一回:プロジェクトを企画した動機とコラボレーションの意義、運営の枠組み
- 第二回:情報の歴史 〜私たちはいつ、語り始めたのか〜
- 第三回:私はなにを語ればよいのでしょうか
- 第四回:地元の昔話、興味を持っている地域の神話、宗教の聖典にみられる訓話(1)
- 第五回:地元の昔話、興味を持っている地域の神話、宗教の聖典にみられる訓話 (2)
- 第六回:コンテンツ設計
- 第七回:サイト設計
- 第八回:制作
EHONプロジェクト.β 進化歴
下記にてメディア実験室「EHONプロジェクト.β」開館までの道のりをご覧頂けます。
EHONプロジェクト.β 議事録ブログ
→http://ehonproject.blogspot.com/
第一回:
プロジェクトを企画した動機とコラボレーションの意義
運営の枠組み
- 「本」「web」:時間/空間的リニア/ノンリニア・メディアのフォーマットを考える。
- 固定した役割ではなくお互いの立場が入れ替わりながらインタラクティブな共同創造作業を模索し、誰もが個々に利を取って参加できる、よい意味でエゴイスティックであるほうがモチベーションの維持には有益。
- コミュニティの創造と維持:遠隔コミュニケーションの方法には古今東西さまざまな方法が編み出され、身体機能の拡張がはかられてきました。現在のネットワーク技術の利点欠点を検証してみた。
第二回:
情報の歴史 〜私たちはいつ、語り始めたのか〜
- ディスカッションに適した席の配置を考える。
- メンバーそれぞれがビジュアル資料を使うなどして自己紹介、どんなことができるのか、を伝え合う。
- 情報の歴史:人類の祖先がいつ、「表現」「記録・保存」「伝達」「受容」という概念を認識しはじめたのか、を年表から読む。まずは「現代」、この数十年に起きた情報文化のトピックスについて話し合う。
第三回:
私はなにを語ればよいのでしょうか
- なぜウエブなのか、なぜ絵本なのか。プロジェクトの方向、行く先にあるもの(めざすべきフォーマットとコンテンツ)を話し合う。ウエブというフォーマットとの必然をもった表現を見つけてゆこう。
- アクション−リアクションのトレーニングとして、歴史年表からインスパイアされた話題を起こし議論する。
- 人間が二足歩行し始めたことと感情の芽生えの関連を探る。
そこから宗教をシステムとして捉え直してみる。装置としての「物語」の運用がみえてくる。
第四回:
地元の昔話、興味を持っている地域の神話、
宗教の聖典にみられる訓話 (1)
- 福井の伝承習慣:観音さまのおすすめ、現代も活用されている雨乞い儀式
- 厳島神社(広島)、日秀観音(千葉):
神道、揺影絃耀(ようようげんよう)や日陽・月陰信仰について。物語と宗教の関係。
- 末子成功譚:物語にある定型のバリエーションと、その枠組みが目指す意味。これに対峙するのが「ロードムービー」のように偏向した主張なく淡々と時間を切り取った「物語りかた」。
- 草加せんべいの歴史
- 都市伝説:
「トイレの花子さん伝説」は地域ごと、学校ごとに特徴づけられたアレンジによって流布している。最近は学校校舎だけでなく町の風景も明るく清潔に照らし出され、住宅の造りも変化して「闇」への想像をかきたてる「孤独な場所」が少なくなった。いかがわしさのなかに物語が宿る。
- 異界との境界:
マレビトと芸能。物語は山沿い、海沿いなど環境がせめぎあう所、違う文化が流れてくる場所で生まれやすいもの。それが同時多発的に広まったり、伝わるうちに段々変化してまた新たな物語が生まれる。
第五回 :
地元の昔話、興味を持っている地域の神話、
宗教の聖典にみられる訓話(2)
- 神事:湯立神楽を例に。
- かぐや姫伝承:竹中生誕説話(異常出生説話)、急成長説話、致富長者説話、求婚難題説話、帝求婚説話、昇天説話(羽衣説話)、地名起源説話などさまざまな定型が見いだされ、語りにバリエーションがある。「異界から来た人が、地上人を救って、元の世界に帰る」という部分は、羽衣伝説と同じで中国の話が影響を与えている。チベット族に伝わる話が起源との説も。世界で同時多発的によく似た発想があったのか、時系列で伝播したのか。物語の底には、政治批判の暗喩も含まれていたのではないか。
- 本当は恐いグリム童話/シンデレラ/白雪姫:
恐怖というのは、話題性があり、興味を引く物語になりやすい。
- 桃太郎:
桃太郎の「勧善懲悪」という定型は変わらないものの、その時々の時代背景に適合した桃太郎に書き換えられた歴史がある。金太郎、桃太郎ともに子供ヒーロー→「男性的な若衆→可愛らしい中性的な少年へ」。男の子の立身出世、女の子の玉の輿はどの時代にも親の願い。
- 語り部の視点:
登場人物の一人称語り、物語に登場しない存在からの客観的分析的な語り、ひとつの状況も視点を変えてみると異なる姿かたちが浮かび上がる。
→多視点による多面的な物語造形
- カンボジアの民話:
「欲張りな人」は「金の斧、銀の斧」と似た人物構成だが、結果が逆で正直者がひどい目にあう。嘘も方便、弱い民衆が強い権力者の者で生き抜く知恵の指南ともとれる。
- 近親者殺し:
タブーの物語。ネガティブな逸話が現実世界でのストレス解消や抑止力となる?
- アラブに伝わる物語:夜伽話、エンタテイメントとしての物語のニーズ。
- 物語の強度:
物語の筋道よりも物語の柱となる人物造形や事柄(関係設定、エピソード)が重要。登場人物という構造物とその組み方の強度によって、要素をいれかえても耐えられるので、内容が広がりやすい(バリエーション)。
第六回:
コンテンツ設計
制作構想:
コンテンツ開発のもととなる思考実験を通してつかみかけている意識に向けて構想を練る。
ポジションのとりかたは、概ね、
創作系(うみだす)/視点を変える系(そだてる)/事典系(調べる・まとめる)にわかれた。
表現表象:
「本」に対する知識を増やし概念を柔軟に持つために、東京造形大学図書館所蔵のアート/アーティストブック閲覧(閉架)。
第七回:
サイト設計
- いずれにも創作フェーズは含まれるのだが、完成後の姿(想定)から、
創作系(うみだす・そだてる)/事典系(調べる・まとめる)に分類をまとめた。 - これに基づき、図書館(=サイト)設計担当者はサイト構造の設計に入る。
第八回:
制作
第八回目以降は制作作業に入り、必要に応じてワーキンググループ単位でのミーティングが開催され、毎週の会議は定例報告会、情報・意見交換の場となった。
EHONプロジェクト.βメンバー構成と作品一覧
サイト設計・制作:松田藍
コンテンツ制作:
糸長幸恵+吉越友紀(EDITON)futuring.小松左京
・連載:日常の隣にある異次元ワールド「TOKYO:OYKOT」
橋本和子
・物語レストラン、本日のコース料理は「UrashimaTaro」
公文ちあき
・アノ有名人がブログで赤裸々に語る心模様「なりブロ」
高澤朋子
・発掘!隣のあるある太郎伝説「日本列島竜宮めぐり」
山本頌+蒲淳也
・あっちこっちの物語から仲間が集まり鬼退治「桃太郎」
折原伸之介
・街に漂う辻占ストーリーテリング・ロードムービー「town talk」

